腹膜透析について

腹膜透析療法について

腹膜透析

腹膜透析療法の特徴

腹膜透析(PD)とは、腹膜を介して体内に貯まった余分な水分や老廃物(尿毒素、クレアチニンなど)を取り除く治療です。

現在、日本では透析患者さんの約3%、約1万人ほどの方が腹膜透析を選択されているそうです。

血液透析に比べると、日本ではまだまだ少数派の治療法ですが、世界的には約10万人以上の方が受けている治療法なのだそうです!

腹膜透析は残腎機能を保持しやすいとの利点があり、PDファーストで透析を始めた方が良いとの考え方もあります。私も透析開始は腹膜透析を病院からすすめられましたが、最終的には血液透析から始めることを選択しました。

PDファーストとは、透析治療をまず腹膜透析(PD)から始め、腹膜透析のメリットを十分に生かした後に血液透析(HD)へと移行するという治療選択です。

腹膜透析の種類

連続携行式腹膜透析(CAPD)

1日3~4回、腹膜透析液を自分で交換します。それぞれの生活習慣に合わせて透析を行います。

自動腹膜透析(APD)

腹膜還流装置を使って、自宅で就寝中に自動的に透析を行います。就寝前に器械に設定して就寝中に透析を行うので、昼間は比較的時間があります。

ハイブリッド透析(血液透析と腹膜透析の併用療法)

血液透析と腹膜透析を組み合わせて行う透析です。

以上のような方法で透析を行っている病院があるそうですが、これらの治療に関しては、透析施設によって方針がかなり異なりますので、担当の先生とよくご相談の上、選択されてくださいね。

腹膜透析のしくみ

腹膜透析とは、腹膜を介して透析療法を行うやり方です。「腹膜」とは、腹腔内の胃、腸、肝臓などの内臓表面と腹壁の内面を覆っている膜になります。
おなかの中に透析液を入れておく事で、体内に貯まった余分な水分や老廃物(尿毒素、クレアチニンなど)が透析液に吸い込まれていきます。吸い込まれた透析液を取り除いて、新しい透析液を入れる作業を繰り返すことで、血液が浄化されていきます。
透析液を交換するためには、おなかと外をつなぐ細い管(透析カテーテル)を付ける必要があります。透析カテーテルを付ける手術は、麻酔を含めて通常1~2時間程度との事です。

透析液は、連続携行式腹膜透析(CAPD)の場合、1日3~4回交換します。交換には細い管(透析カテーテル)を使い、1回30分前後で透析液の出し入れをします。交換は、基本的には本人または家族(介護者)が行います。場所や時間帯は生活のリズムに合わせて決めることができます。

腹膜透析の長所

第一のメリットは、時間をかけて透析を行うので体への負担が少ない点です。また、血液透析のように透析ごとに針を刺す必要もなく、お腹につけた細い管(透析カテーテル)より毎回透析液を交換するだけで終了します。

血液透析は、基本的には病院に週3回通院する必要がありますが、腹膜透析は月1~2回程度の通院で済みます。また、自宅または職場など様々な場所で透析が行え、時間帯もある程度、生活リズムに合わせて選ぶことができます。
残腎機能を保持しやすいため、食事においては、血液透析に比べて、水分やカリウムなどの制限がゆるやかです。また、尿が出る期間も血液透析に比べて長期になる傾向があります。

腹膜透析の短所

腹膜透析は、本人または家族(介護者)の自己管理が求められます。中でもお腹につけた細い菅の出口部の管理が重要で、出口部から感染症を起こしやすいため出来るだけ清潔に保つ必要があります。また、常におなかに透析液を入れているため、まれに腹膜炎になる可能性があります。何度も腹膜炎を繰り返すと、腹膜透析が出来なくなり、細い管(透析カテーテル)を抜くことになります。

また、長期間腹膜透析をしていると、被嚢性腹膜硬化症(ヒノウセイフクマクコウカショウ)を引き起こすことがあります。基本的には、腹膜透析は5~8年ぐらいまでにしておく方が良いとされています。

食事制限に関しては、血液透析に比べて水分やカリウムなどの制限は緩やかですが、あくまでも残腎機能が保たれている期間のみになります。尿量が低下してくると、血液透析と同様な食事制限が必要となってきます。
また、腹膜透析ができる病院やクリニックが少なく、地域によっては腹膜透析を選択できないケースも多くあります。

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